先日のブログでは修理工場をご紹介しましたが、今回は修理の後工程である、調律の様子をご紹介します!
調律は「調律(音程を合わせる)」・「整調(弾き心地を調整する)」・「整音(音色を整える)」の3工程から成り立っています。
エプコでは、調律師さんの手でこの3工程をしっかり行なってから展示・販売しておりますので、どうか安心してお買い求めください。
まずはこちらのアップライトピアノ、YAMAHA B113(2010年製)の調律の様子から見ていきましょう。
高さ113cmのコンパクトピアノで、消音ユニットも取付可能なため、住宅事情からピアノ購入をためらっているご家庭にもお勧めです。
ただいま、エプコの通販サイトでも販売中です!https://shop.epco-inc.co.jp/items/86906668
⬆️調律中。チューニングハンマーで音を合わせています。
基準音(「ラ」の音)の周波数(ピッチ)を、440Hzに合わせていきます。グランドピアノの場合は442Hzにすることもあります。
オーケストラの音合わせの時、最初にオーボエが鳴らす基準音もこの「ラ」ですね。
写真の、ハンマーの横にある三角の道具はウェッジミュートです。
チューニング中の弦以外が鳴らないように、弦を押さえる役目をします。
ピアノの弦は一音につき最大3本張られており、1本づつ調律するために残りの2本を抑えておく必要があるのです
⬆️「整音」工程の一環で、「ファイリング」という作業。
弦をたたく「ハンマーヘッド」にやすりをかけて音色を整えます。
ハンマーヘッドのフェルトは、弦を打つことで段々と弦の後(弦溝)がついてくるため、これを削って滑らかに整形します。
ちなみにこのフェルト、羊毛を圧縮して作られているんです。
調律師が主人公で、映画にもなった小説「羊と鋼の森」のタイトルはここから来ているそうです。
次は、こちらのYAMAHA W101(1977年製)の調律の様子です。
トーンエスケープ(響きを良くするために外装に隙間を持たせる構造)を搭載する、大きな譜面台が特徴の大型アップライトピアノです。
⬆️弦を調律中。
ピアノ一台につき230本もの弦を一本ずつ調整するので、大変根気のいる作業です。
赤いフェルト帯はロングミュート(もしくはミュートフェルト)と言って、先ほどご紹介したウェッジと同じく消音のために使用します。
調律は大変繊細な作業です。力を入れすぎると弦が切れたり、チューニングピンを傷つけてしまったりするので、音を確かめながら少しずつ丁寧に回していきます。
⬆️こちらもハンマーヘッドのファイリング作業の様子です。
ピアノの音色を決める重要な作業ですので、調律師の腕の見せ所です。
続いてYAMAHA C3の調律の様子です。
YAMAHAの代名詞ともいえる美しいグランドピアノですが、完成写真を撮り忘れたままホールへレンタルしてしまいました…
現在はコンサートなどで使用されているそうです。
弊社に戻ってきたらショールームに展示予定ですので、どうかお楽しみに!
⬆️調律中。
弦が垂直のアップライトと違い、グランドピアノは横方向に貼られているため、屈んだ姿勢での作業になり、なかなか腰に来るそうです。腰痛は調律師さんの職業病のようです…
⬆️チューニングハンマー。楽器によって何種類も使い分けます。
⬆️「整調」作業のひとつ、ネジ締め。
ハンマーヘッドが落下する幅を統一するため、「ドロップスクリュー」というネジを調節しています。
⬆️ハンマーの角度を調整しています。これも整調作業のひとつで、ハンマーの中央に弦が当たるようにします。
この他、弦の高さを揃えたり、鍵盤が落ちる深さを調整したり、いくつもの工程を経て調律終了です!
個人で依頼するにはなかなか大変でお金もかかる調律ですが、ピアノの寿命を伸ばし、美しい音で演奏を続けるためには不可欠な作業です。
湿度によって弦が伸び縮みしたり、弾き続けるうちにハンマーヘッドが磨耗したりするので、半年〜1年に1回は調律をお勧めします。
エプコはこれからも、皆様から買い取らせていただいた大切なピアノを丁寧に修理・調律し、
次のお客様にお譲りすることで、ピアノの長い生涯に関わる幸せな仕事を目指し続けます。